辞世
辞世とは、「この世を辞する。この世を去る」という意味ですが、「死に望んで遺す詩歌」という意味もあります。
死に臨んで詩を遺すことは、中国から伝えられました。日本では南北長時代に、死を常に意識していた武士層によって、和歌で詠むことが流行しました。江戸時代には俳句でも詠まれるようになり、辞世は庶民にも広まりました。
辞世の詩歌は、死の直前でなく、あらかじめ作っておくことが普通でした。次に挙げる豊臣秀吉の有名な辞世も、十年ほど前に作っておいたものを、時々取り出しては手直しをして、このような形で遺されたのです。
露と落ち 露と消えしに わが身かな 浪速の事も 夢のまた夢
また高杉晋作の次の辞世も、最近の研究によって、死ぬ一年近く前にはすでに作られていたことが明らかになりました。
おもしろき 事もなく世を おもしろく 住みなすものは 心なりけり
辞世とは、死ぬ覚悟であると共に、生きる覚悟を示すものだったのです。
今日の心がけ…生きる覚悟を決めましょう
職場の教養(倫理研究所発行)4/26~
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